ジュエリー物語
サプライズ大作戦
印台リングに作り替え
母の形見の指輪を父の印台に
Ｍ様から、心待ちしていたメールが届きました
早速、父にプレゼントしました！
箱を空けた瞬間[お～！」と
「こんなええもんつけたのは、初めてや」と
普段あんまり素直に喜ばない人ですが、今日ばかりは喜びを隠せないようでした。
行きつけのお寿司屋さんでプレゼントしたのですが、大将やスタッフの男の子に自慢げに見せびらかしていましたよ。
大成功ですね。 私も嬉しいです。
これからも宜しくお願いします
取り急ぎお礼まで。
「父の日サプライズ作戦」 大成功です
これより1ヶ月ほど前に、市内のＭ様からご相談メールがありました
母の形見の宝石があるのですが、その中の一つをリングにリフォームして、父にプレゼントしたいのです。
できれば父の日に間に合えばと思っているのですが、相談させて下さい。
とても丁寧なメール
お目にかかってお話を伺うと 3年前に会社の社長であるお母様がお亡くなりになり、娘のＭ様が、突然社長業を引き継ぐことになったそうです
急なことで、ご自分は社長業に忙殺されていたのですが、会長であるお父様は、その後元気をなくしておられたようです
3年経ち、お仕事にも慣れ業績もアップ
今度はお父様を元気つけたいと、母の形見の指輪をリフォームして、父の日にサプライズプレゼントしたいとのこと
こんなお話を聞いて、ご協力しないわけにはいきません
でも、父の日までは1ヶ月ほどしかありません、内部的には大変です
何とかＭ様のご希望を叶えてあげたい
その思いを、お父様に届けるお手伝いをしたい
「父の日サプライズ大作戦」と勝手に命名して、作戦スタートです
後日、デザイナーさんを交えてデザインの打合せ
ご希望をお聞きして、大至急デザイン画を書くことに
でも、ただ一つ心配なことが
せっかく父の日にプレゼントしても、果たして、お父様は指輪を着ける方なのかどうか
印台のような大型の指輪は、着ける習慣のない方にいきなり贈って、宝の持ち腐れになっては・・
「お父様は、指輪は着けられる方ですか？」とお聞きすると
「ずーと金の大きな指輪をつけてたのですが、最近それをなくしたようです」とのこと
それなら全然問題ありません 心置きなく作ることができます
デザイン決めの日 「こんなのが出てきました これでも出来ますか？」とダイヤの指輪も持ってこられました
最初、主石はお母様のサファイヤを入れたいとのことで、デザインしておりましたが、急遽ダイヤに変更
サファイヤはオーバル、ダイヤはラウンド 間延びしないよう、元のデザインを手直しして加工することに
急なデザイン変更にも素早く対応
存在感があり、それでいて威圧感のない上品なものを
Ｍ様のご希望を取り入れたデザインが決まりました
この六角のデザインは、お仕事で取り扱うハニカム構造にも似ている、と言うことも決め手になりました
またＭ様のアイデアで、デザインにはなかった、上下のサイド面にもメレダイヤを入れることになりました
早速加工に入る
お母様の形見の指輪のダイヤをメインに、サファイヤリングのメレダイヤ４個も丁寧に取り外して再利用 １８金地金はこちらでご用意
工房としても、印台を作るのは久しぶりだったので、完成を非常に楽しみにしておりました
加工職人さんが頑張ってくれて、期日までに、なんとか手作り作品完成
出来上がってきた印台を見て、内輪で「お～」
デザイナー君も、「これなら僕も着けてみたいです」とのたまう
お母様の思い出の詰まった指輪を、お父様の印台リングにリフォーム
これなら、絶対Ｍ様にも喜んで頂けると確信
お忙しいＭ様は、父の日の当日引取りに来られました
箱をあけて 「お～」
｢これなら父も気に入ると思います」
「母は宝石好きだったけど、私はあまり興味がなかった。 でも、作ってみると楽しさが分かってきたみたい、母に似てきたのかな」 としみじみ
「今晩渡します」
「是非、お父様の反応を聞かせてくださいね」とお願いして納品
そして、冒頭のメールになったわけです
後日、別のご依頼でお越しになったとき、「その後、お父様の指輪はいかがですか？」とお聞きすると
一緒に業界のコンベンションに行ったとき、なじみの取引先の方たちに「これ、娘が作ってくれました」 と自慢されていたそうです
また、「この指輪には、シルバーの腕時計は合わんなー」と言って、金の時計を買われたそうです
本当にお父様にも喜んで頂けたことが伝わってきて、こちらも嬉しくなりました
今回、このような素敵なご家族のイベントに参加させて頂き、お喜びのおすそ分けをいただけたことは本当に嬉しい限りです
このために加工屋をやっている、と言ってもいいくらいです
Ｍ様 お父様、本当にありがとうございました
お父様にも元気になって頂き、親子で益々業績を上げてくださいね
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