ジュエリー物語
爪にダイヤを灯す
黒真珠の指輪 爪にダイヤ
爪にダイヤを着けたデザイン
先日、大阪のＮ様とお話していると、「ところで、黒真珠のリングは高いの？」と聞かれました。
「珠の品質や大きさにより、ピンキリですが・・どのくらいの大きさですか？」と聞くと、「黒真珠のネックレスを持っているけれど、リングがないから・・」とのことでした。
そのネックレスを見せてもらうと、黒色の中に緑色の虹彩が出て、少しバロック掛かった、１１ミリから９ミリぐらいのグラデーションの南洋黒真珠ネックレスでした。
「私は、大きな珠があまり好きじゃないのよ」とのことで、普通、指輪は、ネックレスより少し大きい珠にすると、着けたときのバランスがいいのですが、大きい珠が嫌いでしたら、ネックレスと同じ１１ミリか、若干大きいものにすればいいのではと言うと、「周りがごてごてした形はどうも・・・」とのこと。
「そーですねー、ネックレスの色に合わせて１１ミリアップの大きさで、気に入るデザインを、となると既製品では難しいかもしれませんねー」と言うと「シンプルな形で、なにかいいデザインを考えてくれる」「分かりました、奥様に似合いそうなデザインをなにか考えて見ます」と言ってネックレスをお預かりして帰りました。
後日、パールの色あわせをする。
南洋の黒真珠といってもいろんな色があります。
グレー系・ブラック系・グリーン系・・・いわゆるピーコックカラーといわれるグリーン系のものでも、黒地に濃いグリーンの虹彩が強く出るものと、黒の上に赤っぽいグリーンの虹彩が出るものがあり、その中間には無数の組み合わせと無数の色があります。
お預かりしたネックレスの色は、ピーコックカラーというほどグリーンがきつくないが、黒の上にほんのりグリーン浮き出ている。
たくさん珠があっても、この微妙な色を合わせるのは非常に難しい。
光線の具合で、同じに見えたり違って見えたりする。
何とか、色はピッタリだが若干サークルのある本命と、色味はホンノすこーし違うけどキズのない対抗、押さえに比較用の珠を用意して、デザイン画とともに再びお客様のところへ向かう。
実は、このとき持参したデザイン画の中に、是非今回作ってみたいデザインが一つ有りました。
しかし、それをお客様が選ばれるかどうかは分かりません、他のデザインに決まれば仕方がありません。
このデザインに決まればいいなーと思いつつ、お客様のお宅に伺い、デザイン画３枚と、パールのルース４点を並べました。
珠は、すんなり本命に決まりました。
その珠は、色は一番ピッタリなのですが、底部分に若干サークル（環状の凹凸）が入っていました。
これは、リングの台座部分に隠れるところなので、お客様さえ了承していただければ、割安で完成品に何の問題もありません。
次にデザインですが、３枚のうちの２枚に絞られたのですが、どちらも気に入っていただき、大変迷っていました。
そのうちの一枚が、例のデザインですが、決して私は誘導などしませんよ。
お客様が、「これかなー」と、例のデザインを手にされたときに、「それはいいものになると思いますよー」と言って、「こっちもいいしなー」と他の一枚を手にされたときは、ただ黙っていただけです。
「やっぱりこれにしよ」と例の一枚を再度手にされたときに、すかさず「さすが、良いものの分かる方は違いますねー」と言っただけですよ。
これって決して誘導ではないですよねー。
そーと、お背中を押させていただいただけですから・・・・
結局、お客様が自発的に私が作りたいと思っていたデザインを選ばれました。
それは、パールを留める爪の頭にダイヤを埋め込んだユニークなデザインで、過去に色石では有りましたが、黒真珠ならどんな感じになるのか、是非作ってみたいと思っていたデザインです。
約二ヶ月後完成。
実際に手にとって見ていただくと、ずっしりと重厚な手作り感が出て、シンプルだけれど洗練された形がとても気に入ってもらえました。
それ以来、この作品は、宝石工房ながおのオリジナル品の定番の一つとなりました。
名付けて、名付けて・・・・何にしようかなー（名無しのごんベー）考え中いい名前があたら教えてー
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