宝石なんて興味ない
先日、尼崎市のI 様宅に伺って世間話をしていると
「そうそう、この前、親戚から形見の指輪やペンダントを貰ったけど、宝石にあまり興味ないから、いいものなのかどうなのか全然分からなくて・・・、ちょっと見てくれる?」と言われました。
持ってこられた、小さな箱の中に、たくさんのリングやペンダントが無造作に放り込まれ、ごっちゃになって入っていました。
「私、宝石なんて興味ないから分からへんのよ、本物なの?」
とりあえず、一塊になったチェーンを解いて、畳の上に並べました。
立爪リング、一文字の指輪、ルビーペンダント、サファイアリング、コインペンダント・・・ベビーパールリング。
その中の立爪リングを手にとってルーペで見る。
だいぶ汚れているものの、見える限りでは石に内包物やカーボンはない。
透明度もあり、色味も悪くない。
あまりにもキズがないので、ひょっとしてジルコンでは・・・とじっくり見る。
ダイヤ特有のカット角面の鋭さがあり、ガードル部分のダイヤルースの特徴もある。
0.75 pt900の刻印。
「うーム、これは本物のダイヤですね。、洗浄してからでないとはっきりは言えませんが、質もかなりいいですよ」と言うと
「あーそー、いい物なの、こんなところへ放り込んでおいたらいけないかしら」
「ところで、このダイヤはどれ位するものなの?」
「そーですねー、鑑定しなければ分かりませんが、もしVSが出れば、ルースだけでも一般的には60万以上の値段になると思いますよ」と言うと「へー、そんなに高いものなの、知らないとは恐ろしいことねー」とびっくりされていました。
次に、ダイヤ一文字リングを見ると、形は古いけれど、ラウンドカットの0.1カラットのダイヤが5石。
これも汚れてはいるが、キズの少ない綺麗な石が入っていました。
そのほかのリングやペンダントを見ると、先のダイヤほどの品質ではないけれど、ベビーパールのリングを除いて全て本物でした。
「フーン・・・このダイヤそんなにいいものなの・・・、このまま放っておくのももったいないわね・・・私はあまり着けないので、娘のペンダントにしようかな。」とだんだんテンションも変わってきました。
あれやこれやデザインの好みやアイデアをお聞きして、結局、オリジナルの星のペンダントを作ることになりました。
「星の形の中に立爪のダイヤを入れる・・・
その上に、一文字リングの中の一個のダイヤを入れる・・・
地金は、リングの枠のプラチナを溶かして加工 充分足りそう・・」
「素材は全部揃っていますので、あと必要なのはチェーンと加工代だけですね。きっといいものが出来ますよ」と言うと
「安くしといてね」と、急に現実に引き戻される。
さすが主婦は、夢を見ながらも現実をしっかり認識しておられる。
ホント男にはない才能やなーと、感心しておりました。
一ヵ月後完成。
納品に伺うと、完成品を手にとって、「来月、娘が結婚式に出席するのでこれ着けて行かせようかな。落とさないようにしっかり留めてあげないとね」と言っておられました。
鑑定はVS-1・Hカラー・べリ-グッド 0.75カラットのハイグレードダイヤでした。
ダイヤの品質がいいと、完成品が思っているよりうーんと良くなることがあります。
業界用語で「化ける」と言いますが、このペンダントは本当に「大化け」しました。
残りのダイヤ4ピースとプラチナ地金は、お客様のご希望で、次ぎの加工のためにそのままお返ししました。
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